2022年7月にスタートしたメドピア開発組織の新体制。そこでサーバーサイドのテックリーダーを務めるのが、VPoEの平川弘通です。4年前、平川がメドピアに入社した理由は、Rubyの開発環境とマネジメントのチャンスがあったから。以来、数多くのサービスのリードエンジニアを歴任してきた彼は、新体制について「技術も組織マネジメントも、どちらも取り組んでいきたい」と意気込みます。メドピアのサーバーサイド領域の今後と、エンジニアメンバーへの思いを語りました。
サーバーサイドテックリーダー 兼 VPoE 平川
Rubyが強い会社の第一想起になる
ーーVPoEでもある平川さんがサーバーサイドのテックリーダーも兼務するのですね。何か狙いがあるのでしょうか?
メドピアのサーバーサイドエンジニアは全体の6割を占めます。その分優秀なメンバーも多い。だからと言って複数名をテックリーダーに任命すると、適切なテックリーダー体制にならない…となかなか決めきれませんでした。いろいろな視点で検討した結果、私自身がこれまでサーバーサイドを専門領域としていたことや、採用の段階からサーバーサイドエンジニア全員と関わってきていることから、現時点では私が兼務することが最適だという結論に至りました。
また、メドピアのサーバーサイドには、Rubyのコミュニティへ貢献したいという想いも強くあります。私はエンジニアのキャリアをスタートした2004年からRubyを触ってきたので、責任を持って進めるつもりです。個人的には、「VPoEだけど組織マネジメントだけじゃなくて技術もやっていくぞ」という意気込みの表明でもあります。
ーーかなり前からRubyで開発を経験してきたのですね。
大学卒業後に就職した会社でRubyを触る機会があって、そこでおもしろいなと思ったのが一番最初の思い出です。でも、その会社や2社目に勤めた会社ではRubyはメインの言語ではなくて、たまに触れるくらいでした。その後、本格的にRubyをやりたいと決意して当時ソーシャルゲームを手がけていた会社に転職しました。
ーー当時からRubyはメジャーな言語でしたか?
いえ、3社目の企業に入社したのは2010年頃でしたが、当時は今ほどではなかったと思います。ただその会社には、「自分たちはRubyでサービスを拡大していくぞ」という気持ちの強いエンジニアが集まっていました。リリースした瞬間に10万、20万人のアクセスがあるような世界で、当時Rubyで開発したサービスであんなにトラフィックがあったものは他になかったんじゃないかと思います。
私自身、Rubyの最先端で働いていたことで言語のおもしろさを実感していました。他方、メドピアは2016年にPHPからRubyに移行を進めており、Rubyに強いメンバーが揃いつつある状況でした。
このような背景もあり、私自身、もっとRubyに向き合うにはメドピアが最適な組織だと考えて、2018年に入社しました。
ーーRubyの魅力はどんなところにあるのですか?
3つ、考えられるかなと思います。第一に、「シンプルなコードが書けること」です。ほかのプログラム言語だとたくさんの行数を書かなきゃいけないところを、Rubyは1〜3行で済んでしまうんですね。コードを書いていて気持ちがいい。
そして第二に、「強いフレームワークがある」。当時いろんなフレームワークが登場していた中で、Ruby on Railsにはきちんとした設計の思想があり、アジャイル開発にマッチした思想を持っていることには驚きました。
最後に、「強いコミュニティ」。Rubyのコミュニティは熱量が高く、メドピアもその一員としてコミュニティに積極的に参加することを意識しています。Rubyのイベントのスポンサーになったり、Rubyの生みの親であるまつもとゆきひろさんに技術アドバイザーとして参画いただいたりしています。
これからさらに技術向上を目指して、国内のサーバーサイドに関してはRubyが強い会社の第一想起になりたいと思っています。
最新化、可用性、持続可能性に向き合う
ーーあらためて、サーバーサイドのテックリーダーの役割は何でしょうか。
今話してきたようにメドピアにおけるRubyの技術の牽引です。社内のエンジニアの6割以上がサーバーサイドなので、メンバーの成長の後押しをしっかりしていきたいと思っています。
サーバーサイドでは、Rubyを触ったことがないエンジニアでもポテンシャルに期待して採用しています。メドピアにはRubyに強い人、人に教えることのできる人が揃っていて育成環境が整備されているので、ポテンシャルで入社したメンバーも1年後にひとつのサービスを任せられる人材に育っている人もいます。そのオンボーディングから成長までの育成体制もスケールさせていきたいです。
ーーテックリーダーはテックイシューにも向き合っていきます。
はい。サーバーサイドでいうと、「最新化の先駆けに」、「高可用性の維持」、「データ量増大にも耐えうる構造設計」という3つのテックイシューを掲げました。
▲サーバーサイドのテックイシュー
メドピアの事業の走りであるドクタープラットフォームである医師専用コミュニティサイト「MedPeer」は現在も成長を続けており、すでに今後10年、20年先の持続可能性に焦点を当てています。つまり、将来を見据えた設計をしていく必要があり、そこに「高可用性」も求められる要素になってきます。
さらに、2年ほど前からは多くのサービスのリリースが続いています。それらが導入期から成長期へとフェーズを変えている今、より多くのユーザーが使ってくださった場合にも、きちんと動くことを担保したいと考えています。「MedPeer」の歴史や経験を活かして、盤石な構造設計にしておきたいのです。
そういったそれぞれのサービスのフェーズを踏まえたイシューとして、「高可用性の維持」、「データ量増大にも耐えうる構造設計」を掲げました。
「最新化の先駆けに」というイシューは、前述のRubyのコミュニティへの貢献にも関わるところです。毎年バージョンアップされるRubyをキャッチアップしていち早く反映させることで、自社サービスの最新化のみならず、オープンソースソフトウェアへの貢献につながると考えています。
エンジニア全体で集合知を共有する
ーー平川さんはVPoEとして、それぞれのテックリーダーと対談をしてきましたね。いかがでしたか?
みなさん、技術に真摯に向き合っていますし、知識や経験から見ても「強いな」というのが正直な感想ですね。私もVPoEとしてサーバーサイドのテックリーダーとして身が引き締まる思いです。技術向上とRubyのコミュニティへの貢献に、責任を持って推進していきたいです。
ーーこれからやっていきたいことは見えてきましたか?
VPoEとしては、エンジニア一人ひとりのことをもっと見えるようにしたいと思っています。社内のエンジニアの数は社員だけでも80人以上。それぞれのメンバーがどのようなスキルで、どういうところに強みを持って、どのようなアウトプットをしているのかは、意識してキャッチアップしなければ把握できない規模です。ここを見える化したり、メンバーとコミュニケーションを取っていく必要があると痛感しています。
サーバーサイドエンジニアの採用を担当していたので実感があるのですが、気付かぬうちにみんな想定以上の成長を遂げていくんですよ。たった1年でいちメンバーからサービスを任せられるような存在になっていたり。その動きをちゃんと見て、目標の立て方など工夫していかないといけないですね。
ーー平川さんは新体制への移行前から、メンバーとのコミュニケーションを広く取ってきたのですよね。VPoEに任命されたのもそれが理由のひとつだということで、人への関心の深さがうかがえます。
人を知ることが仕事になるのは、個人的にはおもしろいですね。ただ、それだけでなく全体意識みたいなものがあるのかもしれないです。
ーー全体意識ですか。
自分で言うのもなんですが視野は割と広い方で、よく言えば周りが見えている、悪く言えば注意力が散漫というか。(笑)
前職でも、自分が担当するプロジェクトだけを見て生産性を高めていくのではなく、ほかのプロジェクトと課題や解決法をシェアしていこうよと提案したことがありました。会社全体としてナレッジやノウハウを貯めるようにしようと。
全体を意識することのひとつの手段が、メンバー一人ひとりとの対話なのかなと思います。
ーーなるほど。では、総括としてメドピアのエンジニアチームの目指す先を教えてください。
今以上にサービスの垣根を越えてコミュニケーションを取り合えるようなチームにしていきたいです。具体的に言えば、 何か困っていることがあっても発信しやすい環境づくり、そしてほかのチームからもどんどん解決方法がシェアされるような文化をもっと強くしていきたい。
やはりリモートワークが続いているので、油断するとコミュニケーションは希薄になりがちです。さらに、今後エンジニアの人数がどんどん増えていけば、もっと難しくなります。組織をスケールしていく上で、そこは注意すべき点だと認識しています。
ただ、そもそもメドピアのメンバーは皆、コミュニケーションがいかに重要かを分かっていて、行動してくれていますし、横のつながりを強化して、ノウハウは集合知にして会社全体に蓄積させようというカルチャーがあります。新体制においても、みんなでここを強化していきたいです。
エンジニアメンバーの6割を占めるサーバーサイドのテックリーダーと、VPoEを兼任することになった平川の言葉。そこにはRubyへの愛と、エンジニアメンバー全員への期待がありました。新体制はすでにスタートしています。あとは邁進するのみ!今後のエンジニア組織のさらなる進化に期待です。
執筆:関矢瑞季
▲社内のイベントで、今後の抱負を漢字一字「進」で示しました
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