2023年9月に開催された「大阪Ruby会議03」と「松江Ruby会議10」に加え、2023年10月には「Kaigi on Rails 2023」への登壇を予定し、2ヶ月間で3件ものカンファレンス登壇を果たすサーバーサイドエンジニアの草分 裕也さん。2019年の入社以来、さまざまなサービスのリードエンジニアとしてチームを率いながら、精力的に社外でのアウトプットも担う行動力の源泉に迫ります。
このシリーズでは、メンバー紹介を通じてメドピアのエンジニア“らしさ”をお伝えします。
サーバーサイドエンジニア。 国内最大手MDMサービス会社でのOEMカスタマイズやドキュメント管理/共有サービス開発を経て、2019年4月メドピア入社。グループ内の複数のサービスのリードエンジニアを務める。趣味はスプラトゥーン。
「聞き手目線」を徹底追求したプロポーザル
――「大阪Ruby会議」と「松江Ruby会議」への登壇、お疲れさまでした!10月27日、28日には「Kaigi on Rails 2023」が控えていて、目まぐるしい活動ですね。
今年出した3つのプロポーザルがすべて通ってこのようなスケジュールになりましたが、楽しいです!もちろんハードですし緊張もしますが、アウトプットは苦ではないのでいただいた機会を楽しんでいます。
▲大阪Ruby会議で同じく登壇されたメドピア技術アドバイザリーの前島さんと
――とくに「Kaigi on Rails 2023」は、115件の応募のうち採択されたのは30件程度だったと聞きました。プロポーザルを通すコツが気になります。
実は去年からカンファレンスのCFP(Call for Paper)に取り組み始めたのですが、去年応募した1件は採択されなかったんです。だから今年は応募先を3件に増やしたところ、すべてが採択されたのでかなり自信につながりました。
――この1年間で、技術力がぐんと向上していたということでしょうか。
もちろん技術を究めることも続けてきてはいたので、一因としてあるかもしれません。それに加えて、カンファレンス向けに伝わりやすいプレゼンテーションを追求できたことも良かったのではないかと思います。具体的には、聞き手が何を受け取るかを考えることです。聞き手がどう嬉しいか、どういう力になるのか、聞き終わった後にどうなってほしいかということを考え、聞き手にそこまでたどり着いてもらう道筋がブレないように、プロポーザルを作り込みました。
あとは、カンファレンスのテーマに沿うことも意識しました。たとえば、大阪Ruby会議の今年のテーマは、"Rubyで笑おう"。私は「ブラウザから『今すぐ』gemをロードする方法」についてのセッションのなかで、デモとして「ruby-wasm-synthesizer」で演奏を披露することにしました。
Rubyの初級者でも上級者でも興味深く聞いてもらえること、楽しんでもらえることを考えてのアクションでしたが、結果的に会場の多くの方に笑ってもらえたようで良かったです。
▲大阪Ruby会議 登壇中の草分さん
――おもしろそうです!セッションの内容はメドピアの業務とどのように関係してくるのでしょうか。
実は「大阪Ruby会議」と「松江Ruby会議」で話したことはメドピアでの実務とはほぼ関係のないネタだったんですが(笑)、Rubyの最新技術を扱った内容でした。一方で、「Kaigi on Rails 2023」ではメドピアの業務で得た知見をお話しします。
インプットとアウトプットの積み重ねが技術を深化させる
――今回は短期間の間にそれぞれプロポーザルを応募されたと思いますが、ネタはどのように見つけていったのでしょうか。
普段の業務中からアンテナを張り巡らせておくことですね。これはメドピアだけではなく広く活用できる技術なのではないか、社外に伝えることでいろんな人の役に立つ技術なのではないか……。簡単なようで難しいことかもしれませんが、日頃から意識しておくとネタが蓄積されていきます。
業務外のネタは、カンファレンスに行ってさまざまなセッションを聴講する中でインプットすることが多いです。メドピアはRubyKaigiに毎年協賛していて、行きたいメンバーには交通費も出ます。技術書を購入するのにも補助が出ますし、社外で学びの機会を得ることを会社が奨励してくれているんですね。
社内外でアンテナを巡らせて得たネタをまずは社内のLT(ライトニングトーク)で出してみて、反応を得てからブラッシュアップしてカンファレンスで発表できる形にするというサイクルを回しています。
――草分さんが精力的に登壇されている理由はどこにありますか。
まず第一に、自分自身の技術を深化させることができるからです。生半可な知識では人に伝えられないので、人に伝えられるレベルにするために勉強して身につけていきます。当然登壇でアウトプットすれば質問もいただきますよね。いろんな角度からの質問に答えられるよう、準備も入念にします。
技術を「使える」段階から「教えることができる」段階に行くまでの過程が、自分自身の成長につながるのがおもしろいです。
それに、もう”大人”だからっていうのもあるんですよね。
――大人だから、というのは・・・?
前職からRubyを触ってきて、もうRuby初心者とは言えないほどの経験を積みました。人の作った便利なライブラリをタダで使わせていただいているわけですから、”大人”としてコミュニティに貢献していかないとね、と。そういう思いがあります。
同様に、メドピアのエンジニアチームにも還元したいんです。インプットとアウトプットを積み重ねて技術を深化させて、それをエンジニアチームに共有してみんなで成長していきたい。
なんと言っても技術はおもしろいですから。みんなでおもしろがって、楽しく盛り上げていきたいですよね。
――コミュニティやチームへの貢献が登壇目的の一つであれば、聞き手の反応でそれを推し測ったりもするのでしょうか。
反応はすごく気になります。X(旧Twitter)やブログの書き込みはしっかりチェックしますし、今回のようにオフラインであれば現地のリアクションを肌で感じることもできます。
聞き手が反応したくなる仕掛けを考えるのも好きなんです。無理矢理に何かを強制しても人を動かすことはできないというのが私のスタンスなので、どうしたら自発的にTwitterにコメントしたくなるかなとか、感想ブログを書いてくれるかなと考えます。
以前はオンラインの画面上に、イベントのハッシュタグ付きのツイートを流すようにしてみました。自分のツイートで画面が変化したり、それが読まれたりしたら聞き手に喜んでもらえるかなと思っての取り組みでした。
プログラミングという手段にこだわらない「便利屋」
――外部登壇で大活躍中の草分さんですが、メドピアでの役割もあらためて教えていただけますか。
現在は味の素さんと共同提供している生活改善サポートアプリ「aminoステップ」のリードエンジニアをしています。思えば、2019年にメドピアへ入社してから「CLINIC Support」「MedPeer Career」「ヤクチエ」「aminoステップ」と4つのサービスのリードエンジニアを務めてきました。
――ジョブローテーションがあるにしても頻度高く異動してきているように見えます。
たしかにそうですが、私はこれをとても良いことだなと思っています。私が特定のサービスのリードエンジニアとして居座り続けると、後輩たちを引き上げることができません。リードエンジニアとして後輩たちの成長にもコミットして、次期リーダーを育ててからポジションを空けることで、リードエンジニアを後輩に任せることができています。
自分自身もポジションが変わると言ってもサーバーサイドエンジニアであることは変わりませんし、Rubyを使うことも基本的には変わらないので、一つの柱を持ってさまざまなサービスの開発を経験し、育てていけることはありがたいです。
――登壇資料にご自身のことを「便利屋」と書かれていましたが、そういった経験の豊富さも背景にあるのでしょうか。
それもありますが、プログラミング以外にも幅広く取り組んでいることがあることも表現しました。新しいプロジェクトで旗振り役を任せてもらえることが多いんですよね。
たとえば、薬剤師の業務支援アプリ「ヤクチエ」はリクルートメディカルキャリアから譲受したサービスなのですが、サーバーサイドは自社でイチから作り直すことになったものです。サーバーのソースコードが一行もない状態からのスタートで、チームも新しく作ることになりました。そこで旗振り役として飛び込んで、開発の進め方やスケジュール調整など土台づくりを担いました。足場を整えるにはプログラミング以外の仕事もたくさんあります。
私は、問題を解決できるなら手段にはこだわりません。プログラミングが手段ではなくても構わないんです。そのためにも、「なぜそれをやるのか」からスタートして問題解決につなげていく、つまり「すべてのことにおいて理由を考える」ことを基本のスタンスにしています。
だから、問題解決のためになんでもやっているよという意味で「便利屋」としました。
技術の深化はチームの成長のために
――草分さんは確固たるスタンスをお持ちだと感じました。そのスタンスを持って働く場として、メドピアをどう見ていますか?
ユーザーのためにサービスを作っているという意識を強く持っている人が多くて、同じ目線で仕事ができていると感じます。自分の仕事はここまでだからこれ以上はやらないという、仕事の幅を狭めるような人はいません。「誰のために」「何のために」と理由を考えて議論できるメンバーです。
――力強い仲間ですね。今年は3つのカンファレンス登壇を経験しさらに飛躍していくであろう草分さんですが、今後の目標はありますか。
メドピアの技術力を支える一人になりたいです。自分の技術を深化させてチームに還元することで、メドピアの人、サービス、会社の成長に貢献していきます。そして、後輩たちには追いつけ追い越せで自分より成果を出せる人になっていってもらえるような背中を見せていきたいですね。
だからこそ、技術の深化のためのアウトプットの機会、つまり社内のLTやカンファレンスへの登壇もある意味「利用」していきたいんです。
――ちなみに、エンジニアのメンバーのみなさんにも登壇をオススメしますか。
うーん。先ほど話したように、人に何かを強制することは私のスタンスではないので、絶対やるべきだと言うつもりはあまりありません。ですが、アウトプットを奨励するカルチャーを作り上げる一人になれたらとは思います。良さそうな題材に携わっているメンバーがいたら「CFPを出してみたらどう?」と提案することもあります。
私自身、来年もカンファレンス登壇にチャレンジするかは未定ですが、プロポーザルのネタ探しのアンテナは常に張り巡らせておくつもりですよ。
インプットとアウトプットを繰り返し、自分自身の技術の深化を追い求める草分さん。その行動力の源泉には、チームメンバーやサービスを成長させたいという強い意志がありました。これからの社内外での活躍も楽しみです!
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