メドピアグループは、エンジニア組織の新体制でのスタートを7月13日に発表しました。新体制で新たに設けられたポジションが「テックリーダー」。各技術領域を牽引するリーダーとして、技術の面でチームを横串でつなぐという重要な役割を担います。そして、時を同じくしてメドピアが向き合う技術課題として「テックイシュー」を公開しました。
今回、グループ全体の技術をリードする「シニアテックリーダー」に就任した笹谷とVice President of Engineering(以下、VPoE)の平川が、新体制での役割とテックイシューへの向き合い方について語りました。
シニアテックリーダー 笹谷
2017年メドピア入社。医師専用コミュニティサイト「MedPeer」のAPI開発や、医師ネットワークを活かしてヘルスケア事業を展開するグループ会社Mediplatの開発チームを牽引。2022年7月よりシニアテックリーダーに就任。
VPoE 平川
2018年メドピア入社。新規プロジェクトの立ち上げやエンジニアのマネジメント、採用などを担当。「ありひー」の愛称で親しまれている。
マネジメントと技術リードを分けた理由
――新体制では「テックリーダー」という、明確な役割が生まれました。狙いはなんでしょうか?
平川:ひとつは今後も組織がスケールし続けられるように、役割を分散させることです。今後はVPoEである私が組織マネジメントを担い、テックリーダーが技術領域を牽引していくことになります。
これまではCTOが組織マネジメントも技術領域の牽引も一手に担っていました。しかし、すべてのエスカレーションや権限を一人に集めることが、組織の成長意思決定のボトルネックになることもあります。現在メドピアのエンジニアは約80名。さらに組織を拡大していくには、今変えるのが必然だったと思っています。
もうひとつは、組織を横断した連携強化です。テックリーダーはサーバーサイド、フロントエンド、アプリ、セキュリティ、そして全領域をカバーし、各テックリーダーで補いきれない細かい部分をリードする役割のシニアの5名体制となります。これまではプロダクトごとの組織で、技術の知見共有やサポートを行う動きはありました。今回、技術領域別にテックリーダーを据えたことで、ナレッジ共有がプロダクトを越えて行われるようになり、これまで以上に技術導入や改善にかかる相談が連携されると考えています。
――シニアテックリーダーの笹谷さんの役割を教えてください。
笹谷:サーバーサイド、フロントエンド、アプリ、セキュリティなどの各技術領域に特化せず、会社全体の技術を見ていく役割で、技術領域単位では収まりきらない課題に関わっていきます。たとえば、メドピアにはユーザー数が非常に多くデータ量が膨大なプロジェクトもあるので、データの扱い方を伝えていくことなども私の管掌範囲になります。枠にとらわれず、広いフィールドでメドピアの技術を引っ張っていきます。
――テックリーダーの中でも少し特殊な立ち位置ですね。
笹谷:そうですね。私はこれまでサーバーサイドもアプリもインフラも、いろんな分野を経験してきました。ある程度広く技術の知見があるため、この役割を任せてもらったと認識しています。
――どのようにして技術的知見を幅広く培ってこられたのでしょうか?
笹谷:メドピア入社までに経験した2社が、どちらも5~10名程度の小さな会社でした。そのため一人でやりきるプロジェクトが多く、その分自身で扱う技術の幅が広がっていきました。初めは教育機関向けのiOSアプリを作りましたが、アプリだけではなくサーバーサイドの知識も必要だと思い、サーバーサイドの開発にも携わりました。そのときにRuby on Railsの経験も積むことができましたし、それらが現在にも活かされていると思います。
平川:笹谷さんのように技術領域全般に知見があるエンジニアは貴重で、とても頼りにしています。これまでも難易度が高いプロジェクトの多くを、笹谷さんが解決してきてくれているんですよね。
グループの事業のうちライフログプラットフォーム事業では、複数の歩数記録アプリの開発と運用を行ってきましたが、それらを1つずつ0から開発すると工数もその分大幅にかかってきます。しかし笹谷さんは、初弾となる歩数記録アプリを短期間で開発しリリースを行い、また今後の運用でも横軸でメンテナンスを行っていける共通ライブラリの仕組みを作ってくれました。おかげで、ほかのプロジェクトが立ち上がった時にも、スムーズにアプリの開発ができるようになりました。
笹谷:メドピアでもありがたいことにいろいろな領域の経験ができました。「スギサポwalk」から始まる歩数計やライフログデータの共通基盤化は今も進行中ですが、そこでも色々と壁にぶつかって成長させてもらいました。特に、複数の歩数記録アプリのプロジェクトに共通基盤を活かすときにも、それぞれで要件が微妙に違っていたりしました。それをどのように共通部分で吸収していくかというところは設計に苦労しました。
▲笹谷の経歴はこちらでも詳しく紹介しています
――平川さんが笹谷さんに期待するのはどんな動きでしょうか。
平川:組織拡大に伴って、私だけでは見きれない技術領域が出てくると思うので、そういったところをカバーして意思決定に関与していってほしいです。今までの体制ではCTOが一人で技術の意思決定をしてきましたが、テックリーダーによって体制が強化されることを期待しています。
あとは、技術領域に特化しないテックリーダーとして、全体最適を考えてもらうことがとても重要で、幅広い技術を持ち合わせた笹谷さんだからこそ、スキルを発揮してもらえる役割だと考えています。
みんなで向き合うためにテックイシューをつくった
――テックリーダーが中心となって向き合うことになる「テックイシュー」があります。策定の背景を教えてください。
平川:社内向け・社外向け、それぞれに意図があります。
社内に対しては、現在、技術的に向き合っている課題を言語化することによって、メドピアのエンジニア全員の目線合わせができるので、技術的な成長が加速することを期待しています。もちろんこれまでも言語化していないだけで、課題として認識していました。ただ、それはあくまで「プロダクトの課題」としての認識で、プロダクト内のみで解決していく動きになっていたんですね。今回、テックイシューとして言語化されたことで、解決するための知見がほかのプロダクトにあった時に互いに助け合うなど、横のつながりが生まれやすくなると思っています。
社外に対しては採用に近い文脈になりますが、社外のエンジニアの方にも私たちのイシューに興味を持っていただける可能性があると思っています。そして、テックイシューをオープンにすることで私たちの使命感を高めつつ、社外のエンジニアの方とのコミュニケーションにもつなげていくのも狙いの一つです。
――これまではプロダクトに閉じてしまっていたということでしょうか?
平川:メドピアでは、各プロダクトのエンジニアが横断で参加するミーティングも多いのですが、そういった場では「やったこと」の共有は積極的になされても、「現在の課題」「これからやろうとしていること」を意識していくことがなかなか難しかったんです。ですので今回テックイシューとして可視化したことには大きな意義があると思っています。
――テックイシューはどうやってつくられたのですか?
平川:サーバーサイド、アプリ、フロントエンド、SREと各技術領域ごとのエンジニアと決めていきました。
笹谷:私も一部、策定プロセスに関わりました。 テックイシューは策定されたばかりなので組織内への浸透については濃淡があります。しかし言語化されることで課題が意識されやすくなり、技術力の成長について振り返りもしやすくなるんじゃないかなと思います。
――VPoEとシニアテックリード、それぞれの視点で、テックイシューにはどう向き合っていきますか?
笹谷:サービス数の多いメドピアでテックイシューに取り組むと分野をまたがるようなトピックは必ず出てくるはずです。なので全社横断的に技術をみる立場として、うまく橋渡しできればと考えています。
平川:VPoEとして大事にしていこうと思っている点は、密にコミュニケーションを取りながら、推し進めることです。このテックイシューは中長期的な目線で決めたものですが、随時、アップデートされていくものだと考えています。定期的にスモールイシューを洗い出し振り返りを行うことで、ひとつずつ確実に達成していきたいと思います。
技術リードという新たなキャリアパス
――新たなキャリアパスを歩く一人として、笹谷さんはメドピアのエンジニア組織をどのようにしていきたいですか?
笹谷:組織でいうと難しいのですが、個人のミッションとしては、事業が技術面の課題によってスケールできないという状態が起こらないようにしたいです。今のメドピアは組織もサービスも急成長しているタイミングです。「リリースしたい機能が、今、実施すると他のチームの開発に支障が出る」といった調整に苦労するようなことがないよう、技術面では万全の体制を目指したいと思います。
平川:心強いシニアテックリーダーが生まれましたね。もともとメドピアには各技術領域に頼もしいスキルを持つエンジニアが多く在籍しています。人の厚みはメドピアの強みです。この新体制もメドピアが次のフェーズに進んだんだなということで、ご期待いただけると嬉しいです。
プレッシャーはないのか?と聞くと笑いながら「まだわからない」「楽しみの方が大きい」と答えた2人。VPoEとテックリーダーの今後の連携が楽しみです。
執筆:関矢瑞季
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